小さい頃は、
サンタさんが毎年必ずプレゼントを持ってきてくれていました。
お腹が減れば、ご飯を催促しないでも与えらえ、
暖かい布団で寝て、当然のように学校へ通い、
何も考えなくても平和に生きていける…
日本に生まれた私は、
何不自由なく幸せな幼少期を送って来ることができました。
息子の母校の先生で、
貧しい国でボランティア活動をしている、有名な先生がいらっしゃいます。
ある貧しい国の家族に、1台の自転車を無償で貸し出します。
自転車で1日で何キロも往復しないといけない湧き水のところへ行き、
生活水を運ぶなり、運んできた水を売るなり、
自生している果物を採取し、市場で売るなり・・・
生活の水準を上げるために、役立ててもらいます。
そして、十分生活ができるようになったころ、その自転車を買い取ってもらうか、
返却してもらい、また、違う貧しい家族に貸出すという活動を、
学校抜きで地道に頑張っていらっしゃいます。
うちの息子は残念ながら、その先生とかかわることができなかったのですが、
ある息子の同級生の子がその先生に付き添い、夏休みを利用し、
貧しい国へボランティア活動をしに行きました。
ある日、悪臭の漂う橋の下で、今日食べる食事さえままならない子供たちが、
お腹をすかせ、何人も寝ころんでいたそうです。
彼らになんとか笑顔になってもらおうと、彼は日本の遊びを教え、
一緒に遊んで夏休みを過ごしたそうです。
彼は帰国後、
「先生のやり方じゃだめだ。
このままでは彼らは永遠に教育を受けることができない。僕が彼らを救うんだ。」と、
猛勉強をして、努力を重ね、高校時代に出会ったあの国の子供たちに、
教育を受けさせる準備をしています。
この話を聞いたときは、言葉が出ませんでした。
知らない間に涙が溢れていました。
今後の人生を左右するほどの出会いを高校生のうちに経験した彼が、
心の底からうらやましく思いました。
彼がまぶしくて仕方がありませんでした。
今の私は親として、子供たちがしっかりとした社会人なるのを見守るのが仕事なので、
現実的に彼のお手伝いをすることはできませんが、
いつの日にか、彼がどんな形であれ、夢を実現できた日が来た時には、
必要な物資を持って、現地に行ってみようと思っています。
どうか彼の夢がかないますように・・・
内村みゆき