私は、“辛くても頑張ろう”と思えるほどの素敵な経験があります。
それが今でも私の『生きる心の支え』になっています。
上の子が幼稚園年少組だったころ、
笹島に『ポケモンパーク』という期間限定の遊園地ができました。
息子がポケモンに会いたいというので、
私の母、姉と二人の子供、そしてうちの息子と、私(お腹には娘がいました)で、
平日に電車で出かけました。
子供が3人もいると想定外のことばかりが起きてしまい、
帰る時間がちょうど帰宅ラッシュに重なってしまいました。
電車に乗るとき、母達とはぐれてしまった私は、
お腹の子と息子を守りながら、立って電車に乗っていました。
ある年配の女性が席に座っていたのですが、
私が妊婦で、小さな子供を連れているのに気づいてくださって、
席を代わってあげると申し出てくださったのですが、
ラッシュ時に乗ってしまった私が軽率な上に、お仕事帰りの様子だったので、
「私は乗り物に酔いやすいので座ると酔ってしまうんです。でもありがとうございました。」
と丁重にお断りしました。そうしたら、
「だったらぼくだけでも、おばさんのところへおいで」と
うちの息子を“よっこいしょっ!”と抱き上げ(当時息子は20㎏を超えていました)、
JR名古屋駅から春日井駅まで息子をご自分の膝の上に乗せてくださったのです。
「お子さんだけでも危なくないからね!(安心してね)」と。
思いがけない女性の行動に感激し、涙が出るのを必死にこらえて、
何度もお礼を言いました。
息子を抱っこしていただき、その近くに私が立っていたところ、
次の駅で乗ってきた就活中の女子大生がタイミング良く近くの席に座りました。
この女の子も私を見つけ、「席変わります」と声をかけてくださったのです。
彼女の足元を見るとヒールを履いていました。
慣れないヒールで歩き回って、足も靴ずれしているだろうに、
なんて心の優しい子なんだろう♥と思いながら、同じようにお礼を言ってお断りしました。
春日井駅に着き、息子に抱っこをしてくれた女性にお礼を言わせ、
そして席を譲ろうとしてくれた就活中の女子大生にもお礼をいい、電車を降りました。
子供達に振り回され、疲れ果てた日帰り小旅行でしたが、
疲れが吹き飛ぶほど幸せな気持ちでいっぱいになりました。
先日、芸能人の方が子供を連れて電車に乗た時、急に子供が泣き出してしまったそうです。
一緒の電車に乗っていた年配の女性が迷惑そうに、
『その子大丈夫なの?(頭おかしいんじゃないの)』と言われ、
とても傷ついたという記事を読みました。
同じような辛い経験をしたお母さんはたくさんいると思います。
私があの時受けた“幸せ” を、若い子育て中のお母さんたちに、
少しでも分けてあげられるよう、困っているお母さんがいたら、
何かできないかな?と子供たちと一緒に話し合って頑張っています。
そしてこの“幸せ” が次々と連鎖して、困っているお母さんたちが少しでも減りますように…
心から願っています。
内村みゆき